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【交通事故】有名医師から非器質性精神障害を学ぶ


交通事故の後、うつ病、PTSDなど、精神面で悩まれている方向けの情報です。

今日は、午後から名古屋の国際センターで研修です。
一般社団法人日本損害保険協会医研センター主催の研修で、主に非器質性精神障害について勉強をしてきました。

講師は、医師の吉本智信先生。交通事故に携わる弁護士の中では超有名な先生です。2年前も東京で先生の研修を受けましたが、また新たな学びがありました。

非器質性精神障害とは、脳に器質的な異常がないのに精神症状が出る障害です。例えば、交通事故の後、うつ病やPTSDになることなどが挙げられます。ちょうど私の取扱案件にもあったため、大変タイムリーな研修でした。
私が学んだことを少しメモしておきます。

自賠責と労災における非器質性精神障害の特徴
1 多因性
本質的に多因性であり、事故だけでなく、環境的要因や個体的要因が複雑に関連すること。
自賠責の支払基準では、事故以外の要因の寄与度が不明の場合、5割の減額がなされること(被害者の生活の全部を把握することは不可能であるため。)。
訴訟においては、素因減額が問題となること。
なお、労災では、業務以外の要因を強度別に分類し、割合認定をしている。
2 治癒する可能性
身体的機能の傷害がないため、適切な治療を行い、要因を除去すれば治癒する可能性があること。
そのため、訴訟においては、労働能力喪失期間の限定が問題となる。
症状固定の定義と矛盾することになるが、被害者保護の観点から後遺障害として扱う(症状固定時期をどこにするかは問題。)。
3 精神科専門医による診断と治療が不可欠
1,2の特徴があることから、非器質性精神障害の後遺障害として評価するには、専門医による診断と治療が必要であり、ICDー10の精神病名が必要。
4 後遺障害等級は最大で9級
9級、12級、14級であり、最大でも9級。2のとおり、将来的に治癒する可能性があり、他の後遺障害の認定と整合性がとれないため。

今回の研修で一番の驚きは、非器質性精神障害は、一般的な後遺障害とかなり異なること。
一般的な後遺障害は、事故による受傷後、徐々に回復し、治療を継続してもそれ以上の回復が期待できない状態となると、いわゆる症状固定となり、その時点での症状が後遺障害認定基準に該当するか、という判断になります。
一方で、非器質性精神障害は、将来的な治癒の可能性があるにもかかわらず、被害者保護の観点から、どこかの時点で便宜上症状固定とした上で、認定基準に該当するかを判断して後遺障害の有無を判断する。その代わり、将来的な治癒の可能性があるから、最大でも9級とする。一般的な症状固定、後遺障害の概念とは全く異なっています。

交通事故後の精神症状は、どのように医療機関を受診していくかといった点も重要となりますので、もし気になる方がいらっしゃいましたら、一度ご相談ください。

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